2011-07-11から1日間の記事一覧

16.新上江橋で体感、広大な荒川

荒川中流域の川幅は平均一・五キロメートル、最大二・五キロメートルと広い。かつて中流域の荒川は、武蔵野台地・大宮台地に挟まれた沖積低地を、千分の一から千五百分の一の勾配で緩やかに蛇行しながら流れていた。明治末期の洪水を契機に荒川改修計画がな…

17.太公望の天国、びん沼川

びん沼川は荒川の旧河道、そのまた元は入間川の流れであった。一九二六年(昭和元年)の荒川直線化事業で、現状のようになった。今は蛇行する川に沿って釣り人やパラソルが並ぶ。春には桜並木が美しい。周辺には河畔林もあり、猛禽類や河鵜等を見かける。 び…

18.元荒川と第六天神社の春

岩槻の大戸、元荒川の河畔に第六天神社がある。広い河原には若草が繁り、土手の上の桜も満開だ。 でも、こんな風景も今のうち。あと少しして毎年四月十日には、すぐ下手にある末田須賀堰が田植の準備に合わせて締め切られ、満々と水を湛えた元荒川になる。季…

19.笹目川から見通す武蔵浦和高層ビル群

多自然型の親水護岸が整備された笹目川。水際のデッキまでおりてみると、埼京線の高架や護岸の種々の植物に取り囲まれたトンネルのような空間が広がっている。 水際は自然的にしつらえてあるが、もともと人工河川で直線状の川筋のため、武蔵浦和の高層ビル群…

20.鴨川から望む慈眼寺

桶川市に端を発し、大宮台地を深く刻んで流れる鴨川。その大宮台地からの出口に当たるのが慈眼寺付近。この辺りには大小様々な古墳や貝塚が存在し、古代から人々が暮らす、豊かな土地であったことがうかがえる。 台地の突端にある慈眼寺・水判土観音は、地域…

21.見沼通船堀の閘門開閉実演

緑区の見沼通船堀は長さ約一キロメートル、東西の見沼代用水路と芝川を結ぶ江戸期に造られた閘門式運河である。一九八二年(昭和五七)に国指定史跡となり、復元保存されている。 通船掘の散歩は桜咲く頃から新緑に向かう季節が一番で、菜の花や白鷺なども彩…

22.葦原が残されている加田屋川

見沼田圃の東側の角の部分、加田屋田圃の真ん中を流れている加田屋川。この辺りは、見沼田圃の中でも一番田んぼが残っている所だ。意図的に刈り残された葦原は、水鳥や魚の避難所となる。生き物に優しい風景は、同時に美しい風景でもある。 川と水路、田んぼ…

23.昔のままの小川、高沼用水西縁・河童の森周辺

さらさらと流れる小川、傍らの畑にはモンシロチョウが飛び、池ではカモが餌をついばんでいる。畑の境には桃の木がピンク色の花を咲かせている。こんな日本の春を象徴するような風景が、新幹線の高架からわずか二十メートルという場所に残されている。 高沼用…

24.本太、長屋門が並ぶ通り

本太三丁目に長屋門が並ぶ通りがある。今はどの家も前栽畑を垣根で囲ってしまったが、玄関に続く敷石の中間に立派に改装された瓦葺き屋根と白い漆喰の長屋門が窺える。 周囲は県道四六三号バイパスが開通し、マンションが建ち並び、屋敷林の森も分断されたが…

25.本郷の長屋門

見沼代用水西縁を見下ろす台地上、旧原市道沿いに、競い合うように長屋門が並ぶ。旧本郷村には見沼通船の荷揚げ場があったそうで、舟運と陸路がアクセスし人と物が行き交う豊かな農村地帯だったことが窺われる。 蓮見家の長屋門は、旧岩槻城三の丸居宅の長屋…

26.農村の原風景、水塚の家

この水塚(みづか)の家は一九二六年(昭和元年)築。ちょうど、この辺りの荒川が直線化された年に建てられた。その前は旧荒川左岸の氾濫原(堤外地)にあったが、現在は荒川右岸堤内地となっている。 辺りには同様の家が数軒あるが、未だに荒川堤外地に居住…

27.旧坂東家「見沼くらしっく館」の餅つき

見沼田圃の傍に、江戸時代の生活空間を再現した施設がある。現在ではなかなか見ることが出来なくなった行事や暮らしの様子を、市民が体験できる。 解体修理の際、別の場所に移す案もあったが、現地保存することになった。古民家は、元々の環境と一体に残され…

28.柿木のある農村風景

見沼田圃に近い台地上、大和田の典型的な農村風景。広い畑を前にした長屋門のある農家、背後の鬱蒼とした屋敷林、そして道端にはかつて柿渋を取った柿木が並ぶ。渋柿ゆえにカラスも食べずに熟すままだ。 長屋門脇のムクノキの大木は、おそらく田んぼがあった…

29.見沼、膝子の「フナノ」復活

二〇〇八年秋、「フナノ」と呼ばれる稲藁積みが五十年ぶりに再現された。 使用した藁は約一〇トン。縦四メートル、横一・八メートル、高さ二・七メートルの舟形で、フナノの呼称もそこから。屋根の両脇には獅子頭を模した飾りもある。 この辺りは見沼田圃の…

30.見沼市民農園の米づくり

見沼田圃でも、土地を持たないNPOによる市民農園が誕生した。さいたま市及び関東農政局管内で第一号。それも水田版はおそらく全国初だろう。見沼代用水末端水路のごみ拾いや農家を助ける援農が実を結んだという。 農繁期は米作り、農閑期は斜面林を整備し…

31.西堀、安永年間創業の内木酒造

一七七六年(安永四)創業の旧浦和市唯一の酒蔵。米は県産米を中心に兵庫・新潟も加わるが、水は変わらず自社内の地下水。 以前は田圃の中にあった酒蔵も、今や周りは宅地や倉庫に変貌した。しかし酒蔵の雰囲気を醸し出すデザインで改築され、まちの景観に彩…

32.博物館として残された浦和の街並み

国道四六三号の喧騒から民家園の入り口を一歩入ると、そこにはタイムスリップしたような懐かしい景色が広がる。広々とした敷地に茅葺屋根の民家等が並び、池にはコイがゆったりと泳ぎ、柳が揺れ、陽が差す縁側には干し大根。今にも腰を曲げ手ぬぐいを巻いた…

33.今を映す中山道浦和宿の町家

南北に走る中山道沿いの沿道は、高容積率の商業地域に指定されており、「文教都市・浦和」の宣伝文句のもとに、高層分譲マンションの建設が進んだ。宿場町特有の短冊形敷地に建つ東西に長い壁状の建物は、従来の町家のみならず北側のマンションの日照も奪い…

34.岩槻城址公園、八つ橋の桜

岩槻城址公園は、春にはおよそ六百本の桜が咲き誇る。朱塗りの八つ橋と爛漫の桜が、菖蒲池の川面に映ったこの眺めは、“城下町いわつき”を象徴する風景である。 四月初旬の「岩槻城址公園桜まつり」では、琴の演奏、和太鼓の競演、植木市、夜は流れ提灯のライ…

35.茅葺屋根の願生寺と桜

岩槻駅近く、市街地の真只中にある願生寺は、「茅葺のお寺」として岩槻の人々に親しまれている。春には、本堂前の桜の古木が見事に花を付け、花見客も訪れる。 夕方、本堂の灯りが障子に映ると、なんとも奥ゆかしい平和な雰囲気を醸し出す。往時の岩槻城下の…

36.加田屋新田、見沼用水東縁の桜

日光御成道と並行して流れる見沼代用水東縁の土手に植えられた桜。この桜並木は相当長い。桜の花回廊は、七里自然公園辺りから真っ赤な見沼弁財天を過ぎて、さらに見沼自然公園へと続く。対岸を見れば、西福寺の伽藍は森の中である。 見沼には桜がよく似合う…

37.鴻沼川の桜並木の向こうに新都心

埼大通りが鴻沼川を渡る辺りから鈴谷小学校の脇を川沿いに歩いていくと、やがて正面に新都心を望むようになる。春、この辺りの水路は桜のトンネルのようになり、新都心に吸い込まれていくように見える。 実際には鴻沼川が新都心に向う訳ではない。この川は大…

38.円乗院と樹齢三〇〇年の千代桜

円乗院本堂に向って右側、大日如来像のすぐ先にある千代桜。エドヒガンの変種のしだれ桜で、枝が地面に接するほど垂れ下がり、円形桃色の美しい花を枝いっぱいに咲かせる。 この時期、多くの市民が訪れ、花と多宝塔の取り合わせをカメラに収めている姿が見ら…

39.宮原駅東口の桜並木

普段は何の変哲もない駅前通り。JR宮原駅東口からちょっと歩いて十七号国道を渡ると、やがて桜のトンネルが始まる。 春爛漫、この道を行く車は、皆ことさら速度を落とし、散策する人たちの顔ぶれも多彩になる。桜並木は全長約六〇〇メートル余り、束の間の…

40.風車と桜と菜の花と

見沼田圃、見晴公園の前を流れる代用水西縁に架かる橋の突端に、八角形の洒落た風車塔がある。やさしく吹き抜ける見沼の風はゆっくりと風車を廻し、やがて散りゆく桜の花びらは風車の羽根にまとわりついて菜の花畑に舞って行く。こんな風景を楽しめるのはほ…

41.田島ヶ原 サクラソウ自生地

田島ヶ原は、三月の下旬から四月の下旬まで、可憐な淡紅色のサクラソウで彩られる。四月下旬にはサクラソウ祭りが開催され、多くの人で賑わう。 サクラソウの開花後は緑の絨毯となる。チョウジソウ、ノカラマツの希少種やノウルシなど二百五十種が自生してい…

42.武蔵野の面影、西新井ふるさとの緑の景観地の若葉

かつての大宮台地は、武蔵野の雑木林と開拓農地等が広がる、いわゆる里地・里山と呼ばれる地域だった。ここは、武蔵野の雑木林として残っているものでは市内最大級のまとまりで、若葉の頃には、眩しいほどに明るく、大宮台地の昔を偲べる場所だ。 隣の「花の…

43.見沼代用水西縁、ヤブカンゾウ自生地

県立浦和西高等学校の背後にある見沼代用水西縁に架かる正樹院橋から用水の流れに沿って桜並木の土手が続く。六月の下旬から七月の初めにかけて、この土手の斜面にユリに似た自生のヤブカンゾウの花が咲く。 この時期、花見の時と違い静かな散策路になってい…

44.真夏公開の「水の流れる段床」の水遊び

夏の日盛りに市役所の脇を通ると、場違いな子供たちの歓声が響く。市庁舎東側広場の「水の流れる段床」から聞こえてくるのだ。真夏の七月一日から九月十五日の間、この段床には水が流され、幼児の大人気スポットになっている。お母さんたちは、上段のケヤキ…

45.生研センター、樹木の四季

鴨川の東側台地上にある生研センターの広大な敷地、古くから農林関係の機関が使っていた場所なので、公園などとは異なり木々がとても伸びやかだ。 四季を通じて多様な樹木の姿を楽しめる。春の桜、新緑の木漏れ日も素敵だが、晩秋の頃、正門から本館へと続く…