02.川のある風景
荒川中流域の川幅は平均一・五キロメートル、最大二・五キロメートルと広い。かつて中流域の荒川は、武蔵野台地・大宮台地に挟まれた沖積低地を、千分の一から千五百分の一の勾配で緩やかに蛇行しながら流れていた。明治末期の洪水を契機に荒川改修計画がな…
びん沼川は荒川の旧河道、そのまた元は入間川の流れであった。一九二六年(昭和元年)の荒川直線化事業で、現状のようになった。今は蛇行する川に沿って釣り人やパラソルが並ぶ。春には桜並木が美しい。周辺には河畔林もあり、猛禽類や河鵜等を見かける。 び…
岩槻の大戸、元荒川の河畔に第六天神社がある。広い河原には若草が繁り、土手の上の桜も満開だ。 でも、こんな風景も今のうち。あと少しして毎年四月十日には、すぐ下手にある末田須賀堰が田植の準備に合わせて締め切られ、満々と水を湛えた元荒川になる。季…
多自然型の親水護岸が整備された笹目川。水際のデッキまでおりてみると、埼京線の高架や護岸の種々の植物に取り囲まれたトンネルのような空間が広がっている。 水際は自然的にしつらえてあるが、もともと人工河川で直線状の川筋のため、武蔵浦和の高層ビル群…
桶川市に端を発し、大宮台地を深く刻んで流れる鴨川。その大宮台地からの出口に当たるのが慈眼寺付近。この辺りには大小様々な古墳や貝塚が存在し、古代から人々が暮らす、豊かな土地であったことがうかがえる。 台地の突端にある慈眼寺・水判土観音は、地域…
緑区の見沼通船堀は長さ約一キロメートル、東西の見沼代用水路と芝川を結ぶ江戸期に造られた閘門式運河である。一九八二年(昭和五七)に国指定史跡となり、復元保存されている。 通船掘の散歩は桜咲く頃から新緑に向かう季節が一番で、菜の花や白鷺なども彩…
見沼田圃の東側の角の部分、加田屋田圃の真ん中を流れている加田屋川。この辺りは、見沼田圃の中でも一番田んぼが残っている所だ。意図的に刈り残された葦原は、水鳥や魚の避難所となる。生き物に優しい風景は、同時に美しい風景でもある。 川と水路、田んぼ…
さらさらと流れる小川、傍らの畑にはモンシロチョウが飛び、池ではカモが餌をついばんでいる。畑の境には桃の木がピンク色の花を咲かせている。こんな日本の春を象徴するような風景が、新幹線の高架からわずか二十メートルという場所に残されている。 高沼用…